AMINO EVIDENCE

アミノエビデンス

【美容】保湿効果で肌に潤いと弾力

アミノ酸の肌再生効果

乾燥肌を訴える女性に12種アミノ酸混合物を2週間摂取してもらい、摂取前後の肌に及ぼす影響をみた。

ワンポイント解説

肌はコラーゲンでできているから、コラーゲンを摂取するとすぐにお肌プルプルと思っている女性が多いのが現実である。 今回、12種アミノ酸混合物を摂取することが乾燥肌にどのような変化を与えるか調べた。一般的に皮膚のターンオーバーは約30日といわれているが、当該アミノ酸混合物を一日当たり12g摂ることで、2週間後に肌の状態を表す各種指標の改善が得られ、画像解析によるキメの改善が認められた。昨今、多くの女性が肌に潤いを与えることを目的としてアミノ酸を摂っているが、これはNMFの増加と肌コラーゲン合成の亢進によるものと思われる。

アミノ酸一口メモ

エビデンス

[結果]
7人全員の平均値として、水分量が約2倍に、油分量が約4倍に向上し、弾力性も向上した。

[考察]

周知のように、皮膚は体表面より表皮、真皮、皮下組織の3層構造をなし、表皮はさらに角質層、透明層、顆粒層、有棘層、基底層から構成されている。角質層は角質細胞と細胞間脂質からなり、角質細胞はケラチン線維と線維間物質で満たされている。線維間物質は天然保湿成分(NMF)とも呼ばれ、角質層の保湿性を維持し、ひいては皮膚の健常性を保つうえで重要な役割を担っている。このNMFの主成分の1つであるピロリドンカルボン酸(PCA)はグルタミン酸から作られる代謝産物で、高い吸湿作用および保湿作用を有する。また、NMFの約40%を占めるアミノ酸の中で、プロリンは乾燥状態での保水力がアミノ酸の中で最も高いことから、PCAと配合することで相乗的に吸湿性を高めることが知られている。
皮膚の構造と組成
アミノ酸をクリームなどの成分として皮膚に塗ると、角質層のしなやかさと水分を取り戻せることが報告2)されており、また、50%アミノ酸軟膏がケロイドに対して有効であることが報告3)されている。さらに、高単位アミノ酸食品の経口摂取が褥瘡発生者の組織再生に好影響を及ぼすことが報告4)されている。
現在、スキンケア商品として PCA 、プロリン、アルギニン、グルタミン酸などの様々なアミノ酸が使われているが、褥瘡、創傷の治癒といった皮膚疾患への応用を含めて、生体の要求するアミノ酸組成や量を研究していくことで、医薬品分野へのさらなる応用が期待される。
文献
1)Spier HW, et al:Der Hautarzt 7:55-60, 1956.
2)川口祐三,他:日本化粧品技術社会研究討論会,1997.6,大阪.
3)文入正敏,他:形成外科 XXIII:537-538, 1980.
4)石塚紀元:JJPEN 19(11):1115-1123, 1997.

出典:美 アミノエビデンス155―「きれい」はアミノ酸でつくる