AMINO EVIDENCE

アミノエビデンス

【健康】感染症予防とロコモ対策

有病高齢患者におけるアミノ酸摂取研究

様々な疾患によって入院(寝たきり)や通院される高齢患者を対象に、3種のアミノ酸(ロイシン、グルタミン、アルギニン)とビタミンの混合物(AVT1150)の摂取でどのような生理学的応答が見られるか検証を行った。

エビデンス

[結果]
1)入院患者、外来患者ともに摂取1ヵ月で血中のNK細胞活性が有意に上昇した。
2)同室に入院するAVT1150を摂取していない患者と比較し、摂取期間中の発熱率が抑えられた。
3)外来患者の筋肉量が有意に増加した。

[考察]
NK細胞はリンパ球に含まれる免疫細胞の一つで、体内に侵入する外敵を攻撃する能力を備えている。そのため、ウイルス感染細胞やがん化した細胞やなどの異常細胞を発見すると真っ先に攻撃を仕掛け、身体を病気から未然に防いでくれる重要な役割を持っている。NK細胞活性は免疫力の重要な指標の1つと考えられている。

アルギニンは、生体においてNK細胞活性を高めることがわかっている 1)。グルタミンは、体内で最も多く存在するアミノ酸で、グルタミンによって、腸の免疫細胞機能を改善し、手術後患者者のリンパ球数とTリンパ球反応を増やす報告もある 2)。また、ロイシンは生体内で体蛋白合成のスイッチを押す重要なアミノ酸であることがわかっている 3)。

今回の検討から、AVT1150の摂取によって入院・外来高齢患者のNK細胞活性が向上することが認められた。NK細胞活性が上昇したことで、入院患者の感染症予防、発熱頻度の抑制がもたらされたと考えられる。また、外来高齢患者の筋肉量が増加した。本試験においては外来患者群は日常的に十分なたんぱく質摂取 4)が確認されており、様々な疾患の後遺症で身体活動が限られている高齢者においても筋蛋白合成が促進されたと考えられる。AVT1150の摂取は高齢者の体調管理、健康維持に加え、介護なく生活できる健康寿命の延長に大変有用であると考えられる。
文献
1)Moritguti JC, et al : Eur J Clin Nutr. 59 : 1362-1366, 2005.
2)Van der Hulst RR, et al : J Parenter Enteral Nutr. 21 : 310-315, 1997.
3)Anthony JC, et al : J Nutr. 130 : 2413-2419, 2000.
4)Ohtani M, et al: J Clin Biochem Nutr. 50 : 162 - 168, 2012

出典
大谷勝他:高齢者患者が長期的にアミノ酸サプリメントを摂取する生理学的応答について.第30回日本臨床栄養学会.2008